赤面症と場所の関係

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赤面症と場所との関連性について

会議の様子

赤面症は、対人恐怖症の一種であるあがり症(SAD / 社会不安障害)のひとつなので、赤面症の人は対人恐怖症でもあります。

 

そのため、会議などで人前で話すときや、上司と話をするときなど、人数の多い少ないに関係なく、とにかく「人」との関係において、過剰に緊張して顔が赤くなってしまうのが一般的です。

 

症状の程度は人それぞれで、相手の目を見られず、すぐに目線を外すといった軽症の場合もあれば、心臓がドキドキして、顔や手のひらから大量に汗をかいたり、あるいは息苦しくなったり、呼吸困難になることもあります。

 

赤面症の人が緊張したり、不安や恐怖を感じるのは、基本的に対人関係に原因がありますが、必ずしも特定の「人」や、その人と接する「場面」や「状況」ばかりではなく、それまではなんでもなかった「場所」が、何らかのきっかけで赤面を引き起こす原因になってしまうことがあります。一例をあげましょう。

 

30代の会社員Aさんの事例

男性

社内では「やり手」で知られ、大きなプロジェクトのチーフを任されるほど上層部からも高い信頼を得ており、将来を期待されていました。

 

ある日、Aさんがチーフを務める、社運をかけたプロジェクトが最終局面に差しかかった段階で、社内の一番大きな会議室で、社長以下、幹部全員が顔を揃えた場で、プロジェクトの進行状況などの報告を行なうことになりました。

 

Aさんにとっては、一世一代の大舞台であり、ここで社長や幹部らを唸らせるような報告ができれば、昇進も間違いないしです。

 

もともと「やり手」であったAさんのことですから、事前にしっかりと準備を整え、万全の態勢で会議に臨みました。とはいえ、さすがのAさんも緊張のあまり、前日はあまり眠ることができず、やや寝不足の状態でした。

 

これは、さほど影響はなかったものの、朝からお腹の調子が悪く、会議が始まるまでに3度もトイレに駆け込んでいました。

 

会議前にはお腹の調子は落ち着いていたので、Aさんは安心していましたが、会議が中盤に差しかかったあたりで再び、下痢を催してしまいました。

 

しかし、ここで中座したら「社長や役員たちに申し訳ない」また、「これまでの努力がすべてが無駄になってしまう」という思いから、しばらくは我慢して平静を装って報告を続けていました。

 

トイレ

やがて、冷や汗が流れるようになり、どうにも我慢することができなくなってしまったAさんは、やむなく、事情を説明して会議を中座してトイレに駆け込みました。用を済ませて洗面所で鏡を見ると、Aさんの顔は、自分でも信じられないくらい真っ赤になっていました。

 

驚いたAさんは慌てふためきましたが、もうどうすることもできず、社長らが待つ会議室に駆け戻りました。

 

再び報告を始めようとしたところ、役員の一人が「おい、Aくん、顔が真っ赤じゃないか、大丈夫か、どこか悪いんじゃないか?」と声をかけてきました。

 

もちろん悪意はなく、Aさんの体調を気遣ってのことでしたが、この言葉にAさんはますます顔がカーッと熱くなって、赤みが増すのを感じました。

 

中座するまでは流暢に報告を行なっていたAさんでしたが、トイレから戻って以降は、終始、しどろもどろで、やっとの思いで報告を終えました。

 

それ以降、Aさんは同じ会議室で報告を行なうときにはいつも緊張して赤面し、しどろもどろになるようになり、次第に、別の会議室で報告会や打ち合わせをするときにも赤面するようになってしまいました。

 

そして、「会議室」という言葉を聞いただけでもドキドキして顔が赤くなるようになってしまいました。

 

赤面症は、通常、赤面する「場面」や「人(相手)」が引き金となって引き起こされますが、この場合は、「場所」と赤面がリンクしてしまったわけです。

 

こうしたことは、その場所で、強烈な体験をしたことによって起こるもので、人によっては、美容院に行くだけで赤面してしまう、嫌なことがあった場所に行くと、そのときの嫌な気持ちが甦る、歯医者で痛い経験をしたので、歯医者の前を通っただけで不快な気分になるなど、赤面以外の形でもあらわれることがあります。